縁というコト

月山青春音楽祭の準備に明け暮れる毎日。

学生たちは毎日深夜まで「一生記憶に残る日々」を送っている。


協賛金を集める為に、企業に説明にまわる学生もいる。

目標を達成し、自信がみなぎる顔つきを見ると、

人が人を成長させるのだと改めて思う。


そんな中、こんな声が聞こえてきた。

「今日、中山町のクリーニング店で・・」

飛び込み営業をした際に、店主の方に叱られたのだという。

気になって話を聞く。


最初は奥様に説明をしていたそうだが、途中で旦那さんが来て、

「突然協賛金と言われても、クリーニング店と音楽に関係があるのか」など、

至極まっとうな事をおっしゃっていたそうだ。

お詫びして帰ってきた学生。


「そういえば、本吉さんのこと知っているって言っていました」

「え?」


中山町・・・クリーニング・・・。あ・・・


昨年、山形県クリーニング環境衛生同業組合の皆さんの前で講演をした。

墨字でビシっと名前が書かれていて恐縮しつつ

「本宮」ってなっていた。

私は、JTB時代に「全国クリーニング環境衛生同業組合連合会」なるお客様を先輩から引き継ぎ、

様々な経験をした。

切符1枚からのお届けから、お台場ビックサイトでの展示会、各県ごとに行われる大会など、

歴代続いている大切なお客様であった。

新規営業が評価される中、日々の飛び込み営業と、既存のお客様の対応。

先輩と比較されるため、引き継ぎの方が辛かった。

添乗を断れず、40度を超えた状態でドイツに共に趣き、

結果、フランクフルトで一週間入院した。

2日間記憶が無い。

ご迷惑をお掛けしたことも多いお客様。


ほぼ毎週のように四谷の会館へ通っていた。

専務理事が高校の先輩だったこともあり厳しかったが、

今思い返せば、可愛がってくれていたのだと思う。

当時は気が付かないでいたが。

 

そして3年目くらいだったと思う。

山形で大会が行われ、多くの人が全国から集まり盛大な会だった。

 

大会に来ている方々の奥様方を、会議中の空いている時間におもてなす為にどうするか。

その前年の大会で観光ツアーを企画した。

確か尾道だった。

食事場所をどうするか。

クライアント様からの希望は、「いつもとは違う。でも記憶に残るようなもので、それでいて美味しいもので。コストはこれだけで・・。」

 

尾道など行ったことが無かった。

いつも週末に自分で見に行ったり、

添乗と称してお客様のバスに一緒に乗って調査していた私でも、

さすがに広島に行くお金はない。

 

タリフと呼ばれる資料を見ても分からない。

現地のタクシー会社に電話をして情報を集め、

西山本館」という老舗旅館を昼間だけ貸切ることにした。

到着する前、不安で仕方がなかった。

 

「西山別館」は、某アナウンサーのご実家ということで知っていたが、

「西山本館」は知らない。

バスが到着し、中に入る。

「そうそう、こういった雰囲気なんだよ!!」とクライアント様から握手を求められた。

嬉しかった。

電話をして、色々な人に教えてもらっただけであるが、

疲れがふっとんだことを覚えている。

千光寺公園から見た瀬戸内海の景色を、はっきりと覚えている。

 

それから私はタリフ(手数料がもらえる契約施設が載っている)を見なくなった。

自分で見て、調べて、食べて、それを提案する喜びを知ってしまった。

その後、先輩にこぴっどく叱られたが、

旅行保険を調べ、理論武装して歯向かった。

 

山形大会でも同じようなツアーを作った。

そば街道と呼ばれる大石田を周り、

地元の人しか行かないお蕎麦屋さんを時間を少しずらして押さえたり、

最上川ライン下りをするときも、

途中でサプライズの差し入れを別の船から入れてもらったり。

がむしゃらに頑張った。

 

「本宮」の名前の間違いに気がついた組合の方が、

「申し訳ありません!すぐに作り直しますね。すぐに直せますから」

とおっしゃったので、

「別にいいですよ(笑)、それよりも自分、山形で行われた全国大会の旅行を担当していて・・」

「覚えていますよ〜あの旅行は楽しかったと今でも話しているくらいですよ」

まさか、と思った。

しかし、その後、一緒に記憶を辿って行くとすべて一致する。

驚いた。

確かに見覚えのある顔も座っていらっしゃる。

 

あの時、人の記憶に残る仕事をしていたのだと。

あの時、頑張っていて良かった。

 

そして今、学生が山形のクリーニング店主を怒らせてしまったことを反省している。

 

何らかの縁を感じた。

 

「このままで終わりにして良いのか」

学生に問う。

「いえ、悔しいです。もう一度行って、ちゃんと説明したいです」

 

自分達の企画をしっかり伝えたい。その気持ちが嬉しかった。


翌週、車を走らせた。

菊池クリーニング店の前に学生と共に立つ。

とにかく直接会おう。

 

店に入る。奥様に名前を名乗る。

初めてお会いする奥様が自分の事を知っていた。

 

30分後。

この写真がすべてを物語っている。

菊池さんは職人さんだ。

パタゴニア製品のクリーニングは、全国にファンがいて、

段ボールで送られてくる。

ここでは書けないが、某芸能人からの依頼も多い。

染み抜きブログ

 

菊池さんの「学生を育てよう」という思い。

その熱が学生を介し、再会に繋がった。

 

昨年、舞い込んできた講演の話。

「クリーニング」という言葉でお受けした。

近所のクリーニング店をまわり、問題点を考えた。

色々なアイデアを思いつき、僭越ながらお話した。

 

一番熱心に聞いていただいたのは菊池さんだった。

終わった後に質問に来られて、

facebookで「うちのことよりも、山形全体のクリーニング店の将来の為に力を貸して欲しい」と

メッセージを頂いた。


頑張っていると、縁が繋がる。

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コメント: 2
  • #1

    加藤廉 (火曜日, 27 10月 2015 08:18)

    全ク連さん、懐かしい響きです!
    文章を拝見し、あの頃の自分はそこまでできていたのか、考えさせられました。
    懸命にやっても報われないことはありますが、懸命にやらなければ相手に伝わりませんよね。
    若いうちから本吉さんに指導を受けている学生さんは幸せだと思います。
    また山形に伺う際にはお時間下さい。

    PS.私も契約に無い昼食場を手配し、S業長にシコタマ怒られた記憶が…。

  • #2

    本吉裕之 (火曜日, 27 10月 2015 08:51)

    お!廉くん!
    昨日、銀座を歩いていたら、アテ◯さんの看板を見て、
    廉くんを思い出していました。
    「吉そば」がリニューアルして綺麗になっていたので思わず食べました。
    「大盛り無料」キャンペーンがまだ続いていたよ。18年以上続くキャンペーン(笑)